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和睦の約束が守られず紛糾する今川家の家督
を解決するため、新九郎は駿河へ再び向かう、
シリーズ第2弾。
前巻は迷う新九郎のキャラがイマイチだったが、
今巻は芯がしっかりしてきて軍配者シリーズらし
い戦国エンターテイメントになってきた。
色々と悩みながら行動する理想主義的な言動が
ストーリーとしてあまり浮かず、最近の現代的で
ライトタッチな戦国武将ものとは一味違う確かな
面白さがある。
もう少し脇役に存在感があるとより面白いのでは
と思う。
ちょっと出来過ぎや都合良すぎる事もあるがスト
ーリーの流れではあまり気にならない。



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後の北条早雲こと伊勢新九郎は備中荏原郷で幼
少期を過ごし、叔父との養子縁組のため京へ。
応仁の乱で荒れる京で極楽と地獄を経験する。
先日読んだ伊東潤と同じ伊勢新九郎がテーマだ
が、趣は大いに違って富樫作品らしくエンターテイ
メント性のあるビルドゥングスロマンで軍配者シリ
ーズに通じるものがある。
当時の複雑な政治情勢や世情の中で自分に出来
る事は何かを悩みながら模索していく新九郎を初々
しく描いている。
ただ、他の作品と比べて話に華がなくパッとしない
し、支える脇役たちにもあまり存在感がないので全
体としてちょっと平坦な感じはある。


天下統一を目前にした織田信長の統一後の
新たな国家像に朝廷や家臣たちは戦々恐々
となり、信長に虐殺された伊賀の残党は復
讐の謀略を練っていた。
本能寺の変までを様々な人物の思惑をそれ
ぞれの視点から描く。
それぞれの水面下での思惑や誅殺の真相
はなかなか面白いが、謀略にはちょっと無
理があると感じた。
しかも前ふりが長くクライマックスの本能
寺の変はあっさりしすぎてあまり盛り上が
らず、それ以降の物語もあまりにも駆け足
で終わってしまい少し拍子抜けした。
タイトルの24時間は違うんじゃないか。
水面下での伊賀者たち同士の争いの幕の
引き方も少し強引な感じがした。



火付盗賊改を拝命した中山伊織が黒地蔵一味を追う。
面白い時代小説が多い富樫作品と言うことで期待した
のですが、いまいちでした。
全体的に安直な娯楽TV時代劇風な話でキャラも話も
ご都合主義の軽い感じでした。
結構アラも目立つ。
こんな感じは量産型文庫書き下ろし時代小説で散々
出版され読んだパターンで、あえてこういう形でやる
必要があるのか疑問だし、富樫倫太郎らしさが無い
ような。



軍配者シリーズの完結編。
今巻はタイトル通り謙信の軍配者の冬之助がメイン
になるはずが謙信が凄すぎて影が薄い。
その分は四郎佐と信玄に多くが割かれ「信玄の軍配
者」の後日談的な感じもある。
何と言っても謙信のキャラが良くも悪くも強烈。
かなりの変わり者で孤高の人物として描かれる。
それに振り回され混乱する周辺の武将や敵将の姿が
何とも言えず良い。
四郎佐の家庭的な面も強調され、恵まれず苦労した
末に得た物の大きさに心温まり悲しみも増す。
派手さはないが合戦シーンも面白く、最期の攻防の
軍配者の読み合いなど読み応えあります。
冬之助のラストにとった行動が感動を呼び、その後
を描く外伝を読みたいと期待してしまう。